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2007年1月29日 (月)

年金基金もガバナンスを!

日銀は政策決定会合を行うとその議事録が公開され、総裁、副総裁2人を含めた9人の審議員のスタンスが大体分かる。非難されることも多く、何だかんだと言っても必死に国のことを考えている。しかし、一向に変わらない組織がある。それが、年金だ。

年金積立金管理運用独立行政法人のHPをみるとその運用理念として以下の3つが挙げられている。

年金積立金が将来の年金給付の貴重な財源となることを認識し、年金加入者の皆様の利益のために受託者としての責任を果たします。

長期的な観点に立った分散投資を基本とし、適切なリスク管理を行うことにより、年金積立金の安全かつ効率的な管理・運用を行います。

経営資源の有効活用を図るとともに、情報開示を積極的に行い、効率的で透明な事業運営に努めます。

本当かいな。これが真っ先に頭に浮かんだ感想だ。まず第1点目に関して、本当に受託者責任を果たしているのだろうか。というより果たそうとする意志はあるのだろうか。未だに満期保有国債を簿価評価し、年金資産の経済価値を無視した決算をしている。海外では、年金基金の資産と負債を適切に管理する重要性が再び強調され始め、年金負債をベンチマークにすえた負債対応型投資(LDILiability Driven Investment)というものが注目されている。

これは、「本来年金というものは、非常に長いデュレーションを持つ年金給付のキャッシュフローの整合性をとることを目的に運用されなければならない」という考え方に基づいたものだ。この考え方が改めて注目され、最近では多くの年金がLDIと呼ばれる新たな投資戦略を模索している。

一方、日本の年金はというと、やっと代行返上が終わり、台風一過の晴天といったところが多く、先進的な負債の金利変動リスクについて考えているところはほとんどない。このような状況で受託者責任を果たしているといえるのだろうか。

次に第2点目。「適切なリスク管理を!」言いながら、モンテカルロで10年先のVaRを計算している。そもそもVaRはオーバーナイトのリスクレベルを測るのに有用な指標であり、10年先なんて見ている人はいない。それを堂々と公表してしかもリスク管理やっています、というのはどうなのだろうか。

最後に第3点目。情報開示を積極的に行い・・・とあるが、アセットアロケーションの決定の仕方等、運用委員会の議事録は一向に公開されない。幹部は厚生労働省からの出向者で素人同然。誰も責任を取りたくないから議事録は公表しない。これで情報開示を積極的に行っていると言えるのだろうか。

少し前だが世銀のエコノミストが書いた「Governance of Public Pension Funds」という論文の中で、日本、カナダ、アイルランド、ニュージーランド、スウェーデンの5つの公的年金の評価がされている。これによると日本の年金は官僚からの独立性が保たれていないという理由で最下位だそうだ。近年は株式相場の下落などを受け、いろいろな面で年金基金のガバナンスも向上しているのだろうが、それにしても十分ではないのではないだろうか。個人的には年金基金に結果責任を押し付けるのは難しいと思うが、明確な行動基準を求めたい。上記の運営理念を再考し、本来の責任を全うしてもらいたい。

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コメント

すみません。立て込んでいるので少し時間下さい。ブログ自体も少しスローペースになりそうです。

投稿: alternative times | 2007年2月 1日 (木) 01時10分

いつも参考にさせていただいてます。
ちょっと、ネタがてらに伺いたいことがあるのですが、よろしいでしょうか?
それは中国元と日本円のことです。
中国の兌換性を持つ時期はそう遠くないようですが、そうなった場合の日本はどうなると思われますでしょうか?

投稿: よしみつ | 2007年1月31日 (水) 01時16分

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