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2007年1月13日 (土)

取り残された日本の商品取引所

11日にWTI原油は11日に1バレル51.88㌦を付けたあと、12日終了時点では52.21㌦と年初来14.5%の下落(今週は7.2%の下落)となっている。記録的な暖冬が下落要因となったが、トレーディングのストップロスも誘発しているように思う。ロンドンでもICE Brent Oilがこの1週間で約6%も下落し、11日には1バレル51.65㌦をつけ年初来では約14%も下落した。

これに伴い、日本の原油及び石油製品価格も大幅に下落している。しかし、日米欧では大きな違いがある。それは取引のボリュームだ。欧米では記録的な取引ボリュームを伴って価格調整が行われているが、日本では薄商いの中、出来高を伴わずに大幅下落している。

これは市場参加者による。欧米の市場参加者は、個人投資家に加え、実需投資家、投資銀行、年金基金、ヘッジファンドと参加者が多彩だ。しかし、日本は大部分が個人投資家、商社、商品取引員の自己ディーリング部門に限られている。

個人投資家は最近のボラティリティの高さから怖くて市場に参加できない。商社は裁定取引中心なので必要なとき以外は手を出さない。商品取引員の自己ディーリング部門は会社の都合上あまりリスクが取れないので日計り(デイトレード)中心となり、皆同じ方向にポジションを入れている。つまり、流動性を提供する主体がいないのだ。だから欧米と違って出来高を伴わずに少しのポジションで大幅下落するのだ。更にそうなるからこそ、ポジションを更に取りにくくなっている。取引所や監督省庁が主体となって取引所の構造改革を行わなければ、日本の商品取引所は危ういであろう。

これは上場商品ラインナップを見ても伺える。ここ数年大幅上昇・下落が話題となっている非鉄金属(ベースメタル)であるが、日本で上場されているのはアルミのみ。ニッケル、亜鉛、銅は当業者の反発にあい未だに上場されていない。こういったところの道筋をつけるのが取引所や行政の役割だと思うのだが。

また未だに金ETFが上場されていないのは主要なマーケットでは日本くらいである。既にニューヨーク、ロンドン、パリ、ヨハネスブルク、シドニーで上場されており、昨年末にはシンガポールでも上場された。ETF自体は有価証券なので商品取引所上場商品というわけではないが、ETFが出来れば必ず裏で先物を利用したヘッジ取引が成り立つ。しかしこれも商品取引所が閉鎖的であり外部とコミュニケーションをとらないために開発が遅れているのだ。

確かに日本は一時期の不況からは回復し、金融市場も復活しているように思う。しかし、こと商品取引所に関しては改革が行われておらず、世界から置いていかれている。世界の取引所を見ると、昨年、CME(Chicago Mercantile Exchange)とCBOT(Chicago Board of Trade)が合併を発表するなど積極的な再編が行われている。一方、日本を見ると、出来高・取組高の低迷による救済合併しか行われていない。業界関係者はこれでも一時期よりは速いペースで改革が進んでいるといっているが本当にそうだろうか。その感覚こそ、改革が進んでいない象徴なのだ。

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コメント

ゴム3号さん、コメントありがとうございます。確かに2005年5月の商取法改正は業界に大きなインパクトがありましたね。今までのような強引な営業活動が出来なくなったために、商品取引員は大きく分けて2つ(①自己ディーリング部門の強化 or ②商品ファンドの組成)の道へ分かれたように思います。

さて、ボラティリティの高さでガソリン取引が敬遠されたのではないということですが、個人的には少し違和感があります。取引単位が100klから50klへの変更となったために制限値幅が倍になりました。しかしながら、1枚当たりの取引証拠金に変更が無かったために、リスクとリターンが見合わなくなり個人投資家はこの大きな値動きに耐えられなくなったように思います。

また事実、一部の商品取引員では勧誘商品をエネルギー製品から貴金属に変えたということも聞いております。10万枚出来ていたのは一昔前で現在は一日の出来高が10万枚になることはないように思います。確かにゴム3号さんのおっしゃる通りボラティリティが高いことを敬遠してのみという理由で出来高が減ってはいないのでしょうが、1つの原因であることは確かだと思います。

また、おっしゃる通り商品ファンドの玉も市場には出ていますね。ご指摘ありがとうございます。しかし最近はトレンドフォロー型とよばれる運用手法がもっぱら不調ですね。ここ1年を見ると、各商品取引員が独自の商品指数をつくって商品指数連動型商品ファンドを売っているようですが日本ではなかなか残高が伸びていませんね。米国ではカルパースが商品投資を本格的に始めるようですが。

上場商品の増加についてですが、これは難しいですね。おっしゃるように参加者が分散されるだけかもしれません。それよりは海外から見ると日本は東京工業品取引所以外は板寄せ取引なのでこちらの方が不便だという声をよく聞きます。ただし、世界的に出来ている商品は裁定取引の観点からも是非上場して欲しいですね。これは願望です。

投稿: alternative times | 2007年1月14日 (日) 23時58分

本石町日記さん、コメントありがとうございます。失礼ながら今回の記事にはコメントつくと思っておりました(笑)。以前2005年12月に金の記事を書いたときにもつけて下さったので・・・。今週は17日、18日と日銀金融政策決定会合があるので貴殿ブログも楽しみに拝見させて頂きます。今後とも宜しくお願い致します。

投稿: alternative times | 2007年1月14日 (日) 23時56分

はじめまして。昨年来日本の商品市場の商いが減少しているのは、商取法改正の影響がかなり大きいと思います。それ以外にも取引所の市場監理がなってないとか、当業者圧倒的有利とか、一般の委託者にとって不条理なことが多すぎるのも原因でしょう。ボラティリティが高いことを敬遠して商いが減少するなら、以前の東京ガソリンが毎日10万枚以上出来ていたのを説明できません。
日本の商品先物市場は世界的に見ても特殊な市場だと思われますが(期先に商いが集中するなど)この構造を変えるのは相当困難でしょう。管轄官庁を農水省、経産省から金融庁にするくらいのことをしなければ無理だと思います。
上場商品をこれ以上増やしても参加者が分散されるだけでは?
個人的には相当思い切ったことをしない限り、このまま徐々に衰退してゆく可能性が高いと思っています。
あと現在ファンドも結構参加してますよ。大相場にならない限りほとんど負けているように思いますが。

投稿: ゴム3号 | 2007年1月14日 (日) 10時06分

再びすみません。私のブログでAlternative Timesさんの活動開始を紹介させてもらいました。引き続きエントリー更新、楽しみにしております(別にプレッシャーかけるわけではないです・笑)。よろしくお願いします。

投稿: 本石町日記 | 2007年1月14日 (日) 00時57分

どうもです。日本の金融取引において「商品」はまだ認知度が乏しいのが実情ですね。金利、為替、株式に等しい重要度があると思っているのですが…。個人的にも、資産の分散化では「商品」は有望な対象と見ております。流動性の高い取引しやすい市場に早くなって欲しいと願っております。

投稿: 本石町日記 | 2007年1月14日 (日) 00時46分

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