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2007年1月18日 (木)

マネージド・フューチャーズ (Managed Futures)

マネージド・フューチャーズとは、株式指数、債券、金利、通貨、商品等の世界中の先物を利用し、相場の動向に関わらず絶対収益を目指す投資形態をいう。1949年にリチャード・ドンシャン(Richard Donchian)が組成したものがはじめといわれている。しかし注目され始めたのは1987年ブラックマンデーの頃からである。NY市場を中心に株式相場が大暴落する中、マネージド・フューチャーズは非常に高い利回りを上げたことが評価され注目を集めるようになった。

また、1990年湾岸戦争、1998年ロシア危機、2000年US ITバブル崩壊、2001年NY9.11テロ、2003年イラク危機の折も伝統的運用ファンドのパフォーマンスが良くない中、高い利回りを上げたことなどから一層注目を集めるようになった。 日本では80年代後半に三菱商事(株)が日本で初めてマネージド・フューチャーズ・ファンドを輸入したのがきっかけであるが、その後「商品ファンド」という名前で商社や商品販売業者によって組成された。その日本での「商品ファンド」であるが、その流れは大きく分けて2つに分けられる。

1990年代前半からの流れ:
銀行での販売を背景に運用資産額を大きく伸ばし一時3,200億円程となった。これは、バブル崩壊後日本の株式市場が軟調であったことに加え、組成される商品ファンドが運用資産の70%~80%を金現先に投資し、残りの20%~30%を先物市場で運用するという元本確保型のファンドであったことが大きい。当時の金利は現在よりも数段高く、この元本確保型の運用が可能であった。からくりは以下の通りである。 運用資産額を100億円と仮定しその80%を金現先等に投資し安定運用しておく。金利が例えば年率5%の世界では5年後には安定運用部分の80億円は約102億円となる。つまり、残りの20%を先物運用してすべて損をしても元本が確保される仕組みとなっているのである。

但し、ここで注意しないといけないのは、元本保証ではないということである。日本では「出資の受け入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律」(出資法)により元本保証は認められていない。つまり、ファンドの仕組み上、元本確保がとられるようにはなされているが、元本保証ではないということである。

2000年に入ってからの流れ:
現在の低金利のもとでは上記仕組みでの元本確保型の商品ファンドの組成は難しくなってきた。そのため、金現先取引等を使った元本確保型の商品ファンドは組成できない状態となった。しかし、株式市場が依然として軟調なことや、海外の原油高が連日のように紙面で報道されたこと等を背景に、商品(コモディティー)への関心が高まったことを受け、2003年以降新規の商品ファンドが新たに設定し始められている。これらの商品ファンドは従来の信託型とは違い匿名組合型が多いのが特徴である。

それらの中には、優先劣後といった仕組みを取り入れ、元本確保型の商品ファンドを組成する商品販売業者も出てきた。これはファンドの投資家を優先出資者と劣後出資者に分け、劣後出資者(多くの場合、ファンドを販売している商品販売業者)がある程度までの損失迄なら被り、優先出資者の損失が限定的となるような元本確保型の商品ファンドである。その代わり、劣後出資者はファンド償還時にファンドの目標収益率(例えば5%)をクリアーした超過部分については、優先出資者よりも多くの配分で利益を享受できる。

また、積極運用型の商品ファンドでは匿名組合型が依然として主流であるが信託型のファンドも登場し、信頼性・税制という点でも充実してきた。ただ残念なのは、国内で販売されている商品ファンドの多くが国内のいわゆる「商品」にしか投資しておらず、金融先物も含めたマネージド・フューチャーズ・ファンドとなっていないことである。

日本ではこの点が誤解されており、「マネージド・フューチャーズ=商品先物のみに投資したファンド」と思っている人が多いが、実際にはエネルギー、穀物、貴金属、非鉄金属等の商品先物に加え、株価指数、債券、金利、通貨先物等も含めて全体で「マネージド・フューチャーズ」といわれていることを理解して頂きたい。

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コメント

非常にわかりやすい説明で参考になりました。ありがとうございます。

投稿: | 2011年5月19日 (木) 21時40分

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